おなじ夢を見る
自分にあるものを求める恋と、自分にないものを求める恋。どちらがいいかと言ったら、前者に決まっている。自分にないものを求める恋は、要するに理想の追求で、その理想は、往々にしてこの世には存在しない。つまり、自分にないものを求める恋、というのは、相手の――他者の、と言ってもいいが、「本質の不在」を要求するものであり、まともな神経をもっているものなら、到底容認しがたいものであることがわかるだろう。これに対し、自分にあるものを求める恋、というのが、ひどく即物的なものであることは否定しない。けれども、恋愛というのは本来において即物的なものなのではないか。ならば、鏡のなかの自分を見つめるような恋愛は、ある意味すごく理にかなっている、と言えるだろう。
とはいえ、そんなふうに考えていたのはきのうまでのことだ。
「おなじ夢を見る」
収録作品
- 短い沈黙のためのア・ラ・モード
- 桜の樹
- ベルトの魔法
- さまよえる二匹の犬
- 毒と苺
- パフェの奥底
- 旅の途中
- 後日談
- 誰でもいいから誰かを力強く抱きしめたい
- 甘籃を刻む男
- レインボーロードの亡霊
- おなじ夢を見る
販売サイト
初版発行日
- PDF:2020年4月1日
- mobi:2019年4月11日
- 書籍(文庫):2019年3月3日
頁数
- PDF:81p
- 書籍(文庫):86p(表紙回り4p含む)
発行元
- PDF:6e
- mobi:6e
- 書籍(文庫):6e
備考
- BL