書籍/電子書籍

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    失色ブルー

    たとえば、なにかつらいことがあったときに空を見上げる、というのは、小説内の記述においてなら、常套化していると言っていいものかもしれません。ですが、もちろん、ひかえめに考えても、そのとき空に罪はない、と言えるでしょう。だいいち、目の前が真っ暗なときに、前より遠くすらも見ることが許されないのだとしたら、いったい視覚というものは、なんのためにあるのでしょうか。どんな短距離走でも、ゴールと言うのはここにはなく、数秒以上ぶんの時間の先にあるものです。べつの言い方をするのなら、「そこ」というのは、そもそも「今」ではなく「未来」の領域であると言うことが可能になるのではありませんか。「未来」を本質的に凝視めるのが眼球の機能ならば、空くらい見たってなんのことはない、と言っていいのではないかとわたしは思うのです。
    「失色ブルー」

    収録作品

    • 「味噌汁残高」
    • 「平面日」
    • 「青の時代」
    • 「粉々に砕かれた未来のために」
    • 「罰の味」
    • 「トイレの神様」
    • 「しおどき」
    • 「失色ブルー」

    販売サイト

    初版発行日

    • PDF:2020年4月1日
    • mobi:2017年11月1日
    • 書籍(文庫):2017年4月1日

    頁数

    • PDF:177p
    • 書籍(文庫):188p(表紙回り4p含む)

    発行元

    • PDF:6e
    • mobi:6e
    • 書籍(文庫):6e

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    ひらがなのふたり

    男の二人暮らしになんて、カラフルな爪楊枝は必要ないだろう。そう思ったゆきは、ちょっとだけ眉間に皺を寄せると、結局のところそれを、買い物かごのなかに抛り込んだ。なんと言ってもさなたはきっとこういうものが好きだろうし。前歯をせせるのにはいささかお上品にすぎるが、そもそもゆきやさなたの年代だと、そんなものは使わないか、使うとしても類似の高性能品(デンタルフロス)である。チーズとか、たこさんウインナーとか、ミートボールとかに「むだに」(とはもちろんゆきの思惑)刺して使う。そんな「むだ」にこころを配るのは、なんと言っても、ゆきが、さなたの喜ぶ顔が好きだから――などという言い方は、いささか簡にして要を得ていない。そうであるからこその「眉間の皺」である。
    「爪楊枝の色」

    収録作品

    • ひらがなのふたり
      • 爪楊枝の色
      • 麻婆飯
      • ひらがなのふたり
      • 大判焼小路
      • 桜の下で男(もしくは男)
      • お茶を淹れる
      • 未開の大地
      • 春巻きの皮(すなわち、揚げるまえに包むもの)
      • スパイスの誘惑
      • 気づいたら卵焼き
      • 平行線
      • オーロラソース
      • 古い油
      • 木べらと青春
      • WATCHING A MOVIE WITH SOME SNACKS
      • ゆきあらし
      • 突然炎のごとく
      • 霙花
      • 海・オンデマンド/花火・オンデマンド

    販売サイト

    初版発行日

    • PDF:2020年4月1日
    • mobi:2016年4月15日
    • 書籍(文庫):2017年4月9日

    頁数

    • PDF:82p
    • 書籍(文庫):86p(表紙回り4p含む)

    発行元

    • PDF:6e
    • mobi:6e
    • 書籍(文庫):6e

    備考

    • BL
    • 連作掌編集

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    鹿鳴のすべて

    鹿鳴は身体の中にいくつもの汀を持つ青年であった。ほんらいならば水平線が立つべきところにあたらしい汀が出来ては重畳なり、波は何処かから不図あらわれるばかりで、帰るべき大いなる源をついに持つことはなかった。彼の身体のなかに入って釣りをすると、浅い処をこのむ魚ばかりが魚籠の中にたまった。鷺がやってきては白い羽を落としてまた飛び立ってゆく。どこまで歩いていっても、はだしの足の甲の肌色が水の表面に映るような、そんな青年であった。
    「鹿鳴のすべて」

    収録作品

    • 鹿鳴のすべて

    販売サイト

    初版発行日

    • PDF:2020年4月1日
    • mobi:2015年2月25日
    • 書籍(文庫):2017年4月1日

    頁数

    • PDF:57p
    • 書籍(文庫):58p(表紙回り4p含む)

    発行元

    • PDF:6e
    • mobi:6e
    • 書籍(文庫):6e

    備考

    • 幻想小説

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    S氏の裁判

    扉を開けた瞬間にはがらんのように感じられた法廷も、我に返ったならばぎっしりの大入りで、弁護士も検察も裁判員も傍聴者たちも、そこにいるひとびとはみな、病院着のようなものを着て、白い仮面をつけている。ひとりはだかの顔であることに、いっそわたしは赤面したい気分だ。彼らのあいだで織り成されるひそひそ話は、意味などという下品なものではなく、ただのオトのさざなみとして、お上品にわたしの神経を逆撫でする。こんなぺてんの法廷に、わたしが出廷する義務は本来ない、と思う。けれども、ぺてんと思っているのはわたしだけで、彼らの法律には、この裁判の正当性が記載されているのかもしれない。ただ、わたしひとりの手にある六法全書だけが乱丁している可能性は排除できない。
    「S氏の裁判」

    収録作品

    • S氏の裁判

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    初版発行日

    • PDF:2020年4月1日
    • epub/mobi:2014年4月30日
    • 書籍(文庫):2017年4月1日

    頁数

    • PDF:97p
    • 書籍(文庫):102p(表紙回り4p含む)

    発行元

    • PDF:6e
    • epub/mobi:6e
    • 書籍(文庫):6e

    備考

    • 幻想小説
  • 書籍/電子書籍

    黒い本(仮)

    吐いたもの

    吐いて
    吐いて
    また吐いて
    憑きもの
    それを
    ぜつぼうと
    呼ぶことは
    ゆるされない
    「黒い本」

    収録作品

    • 黒い本(仮)

    販売サイト

    初版発行日

    • PDF:2020年4月1日
    • mobi:2014年4月24日
    • 書籍(文庫):2017年4月1日

    頁数

    • PDF:30p
    • 書籍(文庫):36p(表紙回り4p含む)

    発行元

    • PDF:6e
    • mobi:6e
    • 書籍(文庫):6e